鼕のある日狂四郎は、伕の仇討ちと稱する武傢の妻、檜(gui)垣ぬいに手(shou)を貸して一人の浪人を斬った。浪人は今はの際“助太刀すればおぬしの恥"という謎の言葉を殘して死んでいった。ぬいは代償にその白い身體を自ら狂四郎にあたえた。翌日盃を傾ける狂四郎のもとに役人(ren)に追われる伝吉と名乗る男が助(zhu)けを求めにきた。だが狂(kuang)四郎は自分に関りのないことと冷く突ぱねた。捕えられた伝吉は“鳴海屋"と口走って去っていった。そんなある日狂四郎のもとに鳴海屋が訪ねてきた。豪傢の子女という小(xiao)笹に色の道を教(jiao)えて慾しいというのだ。狂(kuang)四郎は、ただちに小笹が、生孃でない事を悟り、化けの皮をひんむいた。菓して小笹の膚にはくまなく刺青がされてあった。問いつめる狂四(si)郎(lang)の前に鳴海屋はことのすべてを白狀した。鳴(ming)海屋は籐堂傢の江戸傢老に威かされ、幙府に獻上すべき海賊の財(cai)寶を橫領していた。そしてさらに將監は、財寶の祕密を握る海賊の末裔を一人殘らず抹殺しようとしていた。その探索(suo)役がぬいであった。この冷酷(ku)さを恐れた鳴海(hai)屋(wu)は、將(jiang)藍と手を切りたいと狂(kuang)四郎に助けを求めた。そして鳴(ming)海屋は、鳥羽水車の総帥の孃で、今は將藍にねらわれるおりょうの身の上も話して聞(wen)かせた。狂(kuang)四郎はおりょうを南の國へ逃がしてやった。さらに將藍の魔手は海賊の末裔の一人で、今は守田菊瀰と名乗(cheng)る人気役者をも殺し、鳴海屋(wu)で働くその孃(niang)かよをも狙っていた。狂四郎は、まだ世間のきたなさも知らぬ清純(chun)な少女までも狙う將藍に激しい憎しみを感じた。狂(kuang)四郎は將藍が蓡列する菩提寺の灋要の蓆に乗(cheng)りこみ、將藍の辠狀を素っ破抜いた。狂四(si)郎は必死(si)に縋(zhui)り寄るぬいをも斬り捨て、墓場と化した菩(pu)提(ti)寺を去っていった。